【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う





店が閉まったあと、

弥生はいつものように

バックヤードでネクタイを緩めていた。
 


黒瀬の姿が見えないことに、

最初は何も思わなかった。
 


オーナーが席を外すことなど、珍しくもない。
 


だが、違和感は黒服の一言で形になる。



「オーナー、今日はもう戻らないそうです。」


「……珍しいな。」
 


弥生はそれだけ言って、ロッカーを閉めた。
 


それ以上を聞かなかったのは、

聞く必要がないと分かっていたからだ。