「待て。」 低く、短い声。 振り向くと、オーナー ――黒瀬氷が、 カウンターの内側からこちらを見ていた。 「お帰りですか?」 「ええ。十分楽しませていただきました。」 にこりと、いつもの上品な笑み。 黒瀬は、すぐには答えない。