「……ええ。」 「約束だ。」 「約束は、軽々しくしない主義です。」 「じゃあ」 九条は、目を閉じる。 「期待だけ、しておく。」 椿の指が、最後に九条の髪を撫でた。 それは、肯定でも否定でもない。 ただ、関係が一段階、動いた合図だった。 幼なじみのままでは、いられない。 でも、まだ―― 恋人でもない。 その曖昧な距離が、 九条にとっては、何よりの希望だった。