「……相変わらずだ。」 「?」 「俺の一番、言われたくないことを言う。」 椿は、微笑んだ。 「幼なじみですから。」 その言葉に、九条は目を閉じる。 ここにいる理由。 名前を捨てた理由。 勝たない理由。 すべてを知った上で、 それでも隣に座る人間がいるという事実が―― 今の九条には、何より重かった。 夜は、まだ深い。