【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う


 


椿は、

ゆっくりと髪を梳くように指を動かしながら、

黙って続きを待った。



「九条家ってさ」
 


彼は、淡々と語り出す。



「“正しい”家なんだよ。」


「知ってます。」


「だろうな。」
 


苦笑。



「正しい学校、正しい友人、正しい結婚相手。

 正しい順番で、正しい人生。」

 

椿の指が、わずかに止まる。