グラスを取ろうとした拍子に、 椿の袖がわずかにずれた。 ほんの一瞬――それだけで十分だった。 城崎蓮の視線が、確かにそこに落ちた。 白い肌に浮かぶ、一輪の薔薇。 瞬間、空気が変わる。 城崎の動きが止まり、呼吸が一拍遅れた。