【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う





「分かってます。」


「だったら」


「だからこそ、です。」
 


弥生は、言葉を失った。
 


腕を解くこともできず、
 


引き寄せる理由も、もう隠せない。
 


仮面を外した男と、
 
まだ仮面を外さない女。
 


その距離は、近すぎるほど近いのに、
 
決定的な一線だけが、まだ残っていた。
 


――それが、たまらなく気に入らない。



(近々、か。)
 


弥生は、椿の横顔を見つめながら思う。



(それまで、正気でいられる気がしない。)