「どこ行ってた。」 声は低い。 店で使う甘い調子じゃない。 「少し、席を外してただけです。」 「“少し”?」 椿の腰に置かれた腕が、僅かに引き寄せる。 周囲の視線も、立場も、 この瞬間の弥生にはどうでもよかった。