【第一夜】今夜、仮面の下で君を想う





「失礼ですが」
 


距離を戻しながら、椿は続けた。



「お名前、伺っても?」
 


オーナーは、一瞬だけ考える素振りを見せた。
 


そして、軽く肩をすくめる。



「黒瀬 氷。」
 


名を出す声には、隠す気も、誇る気もない。