次は、誰にしようかな?

「あなたが、白石綺羅を殺したんでしょう?だって、白石さんと矢羽根さんと一緒に放課後美術室に向かったんでしょう?」
 僕は、ゆっくりと首を左右に振った。
「昨日は、咲と二人で美術室に行ったよ。そこで綺羅とも別れたんだ。」
 そう言ったが、季穂の顔は疑いであふれていた。
 ダンッと、僕の机をたたいた音がした。それは、やはり季穂だった。
「でも、ありがとう。私、白石さんがいなくなってちょっと嬉しかったんだ。感謝しておくわ。警察に捕まらないように私が頑張ってあげるから。」
 そういって、立ち去っていった。
『僕が、白石綺羅を殺した……?』
 そして、白石綺羅は、もうこの世で生きていない……?
 あいつに限って、そんなことはないと思う。あいつは、死んでも生き続けるような奴だ。
 不死鳥を思わせる女子だった。
「あなた、人気者だね。私ともお話してくれる?」
 今日は、やたらと声がかかるなと思いながら、後ろを振り向く。
 見たことがない子だった。
 いたって普通の女の子だ。セミロングの黒髪を後ろで一つに結び、制服は崩さずに綺麗に来ているが、スカートには少し皺が入っている。メイクなどはしていないし、可愛いわけでもない。ただ、なんだか見たことがあるような顔だ。
「別にいいけど……。」
「じゃあ、場所を変えない?屋上に行きましょう。きっと涼しいわよ。」
 そういって、女の子は教室を出て階段を上がっていく。僕もそれに続く。
「急に呼び出してごめんね。白石綺羅さんの事で聞きたいことが合ったの。」
 少し肩を落としてしまった。僕に興味があって声をかけてくれたんじゃなかったらしい。
 ただ、それで落ち込むと綺羅に悪いと思ったので少し口角を上げるように意識した。
「もしかして、あなたも白石綺羅を僕が殺したって思ってるんですか?」
 すると、女の子は少し目を細め、首を横に振る。

「だって、白石綺羅を殺したのは、私だから」


「え……?それは、あの……本当ですか?」
 女の子は小さく「うん」と答える。目のまえに殺人犯がいる。でも、なぜか逃げようとは思わなかった。
 ただ、妹を殺した犯人が女の子かもしれないとも思ったので、逃げるわけにはいかなかった。
「いつ、どこで、なんで、あと、綺羅で何人目ですか?あなたが殺したのは。」
 女の子は屋上のフェンスに身を預けるようにして落ちる可能性があるところまで倒れて行った。
 死ぬのは何も怖くない、ということを象徴しているように見えた。
「あなた、警察みたいね。自己紹介が遅れたわ。私の名前は、カリナ。これ以上は言えないわ。言えないって言うかないって言うか。」
「僕は、西村天都です。綺羅のクラスメイトです。」
「転校生だよね。初めて見る顔だから。また、描かないとね。」
 カリナは僕の質問に答え始めた。
「昨日、ここで、彼女を殺した。殺したって言うか、引き込んだって言うか。動機は特にないわ。別に、誰でもよかったのよ。綺羅で何人目だろうね。特に数えたことがなかったから。でも、十人は超えているわよ。」
 カリナは、殺人犯だ。簡単に言ったら、サイコパスだ。
 しかも、動機は無し。誰でもよかったって理由で人を殺すのは、正真正銘カリナが悪い。
「僕、カリナを見たことがないんだ。何年何組?」
「急に呼び捨てね。まぁ、いいわ。私は、何年何組でもない。」
 は?と顔をしかめると面白そうに笑われた。
「私はね、この学校の人だけど、この学校の生徒ではないの。分かってよ、あなたなら。」
 そういって、普通の髪をさらっと翻し、帰っていった。