そうこうしていると、体育館から各自教室に帰る時間になっていた。

これから、クラス内で最初のホームルームでも行うのだろう。

それでも私は気にせずにはいられなかった。あの謎の男に向けられた、こまりの熱い視線を。

居ても立ってもいられなくなった私は、こまりを追いかける。

「名前はなんていうの?あたしは、こまりよ」

そこには、あの男子生徒に熱烈なアピールをするこまりの姿があった。

(え?まさか本当にその男が好きなの?)

式の後、私には一瞥もくれなかったくせに…。ずっと友達だと誓ったはずなのに…。

私の心にどす黒く、醜い感情が沸き上がってくるのを感じる。

この感情の正体はわからない。だけど、この気持ちだけは確かだ。

「私のこまりを、返して」