君がくれた涙は、さよならのために

眉をしかめて怖い顔をしている氷川くんに、負けじと片手を差し出す。


「…おまえ、馬鹿にしてんのか?それともただの馬鹿なのか?さっき言ったこと全部本気だからな。おまえのことを今すぐ殴ることだってできる」

「だから、やっていいって言ってるでしょ?そのかわり、これから他の人を殴るなんてことしないで…」


ガッと横から氷川くんに顔を殴られそうになり、咄嗟に両腕で防ぐけど耐えきれなくて倒れる。

「きゃあ!」と野次馬の女子から悲鳴が上がった。


「い…った…」


これ、骨折れてないよね…?

痛さでぶるぶると震えている腕を、正常に動くか何度か確認をする。


「ちょっと、普通顔いく!?自分から言っといてなんだけど、一生の傷とか残ったらどうしてくれるわけ!?」


きっと氷川くんを睨みつけると、なぜか彼は一瞬だけ驚いたように目を見開いた。


「…おまえ、怖いとかいう感情ないわけ?普通ここまでされたら、泣くだろ」

「私に普通は通用しません。残念でしたー」

「…なにを」