君がくれた涙は、さよならのために

「瀬川さん?」

「あ、えっと…」


笑顔が引きつってきたその時だった。

隣の彼が、音を立てて立ち上がると、乱暴に鞄を肩にかけて教室を出て行った。

うるさかったのかな…?


「こっわー…」

「さっきの、氷川蓮(ひかわれん)くんって言うんだけど、彼も三日前に転校してきたの」

「でも一切笑わないの。ずっと無愛想で、話しかけても冷たく突き放されるか無視!噂だと喧嘩して補導されてたところを見たって人もいるんだって」

「怒らせて手出されても怖いし、関わらない方がいいよ」

「氷川くんの後に転校生として来た瀬川さんがあまりにも違いすぎてびっくりしたよね」


氷川くんが行ってしまった方向をぼーっと眺めながら、「そうなんだ」と曖昧な返事を返す。

笑わない、か…。

わからないけど、少しだけ私と似ているようなそんな気がした。



帰りに一度職員室に寄ってから靴箱に向かっている途中で、何やら中庭らしき場所が騒がしいことに気づいた。