君がくれた涙は、さよならのために

「あれー?もしかして私、スベっちゃったかな?」


沈黙に耐えられなくなり明るくおどけてみせると、わっとクラスメイトたちが一斉に話し始めた。


「びっくりしたー!こんなに明るい転校生初めてだよ」

「いえーい、女子ー!」

「よろしくねー!」


温かい歓迎の言葉に、誰にも気づかれないようにほっとする。

笑っていれば、大抵のことはうまくいく。

たとえそれが偽りの私だったとしても、みんな気づきもしないんだ。


「瀬川さんの席は、窓側の一番後ろね」

「はーい!」


先生が指した窓側の一番後ろの席に笑顔を貼り付けたまま向かう。

ふと、窓側の端っこに座っていた隣の席の男の子と目が合った。

中学生にしては随分と大人ぽい頬杖をついている彼の黒髪が、薄く開けられていた窓からの風によってサラサラとなびいていた。

切れ長の瞳が真っ直ぐに私を捉えていて、整った顔立ちに不覚にもどきりとしてしまう。


「瀬川凛々花です!隣、よろしくね!あなたの名前は…」