君がくれた涙は、さよならのために

氷川くんが学校に来なくなってから、三日が経った。

噂では、隣のクラス男子四人組を理由もなくボコボコに殴ったことから、しばらく停学するように言われて来ていないとか。

それに放任主義であるのか、保護者の方にもいまだに連絡がついていないらしい。

ぽっかりと空いている隣の席を、頬杖をつきながらぼうっと眺める。


なぜかあの日から、氷川くんが気になるんだよね…。

私と似ているような気がしたからか、目が離せないっていうか…。


「凛々花ちゃん、みんなもう音楽室向かってるよ?」


ハッと顔を上げると、クラスメイトの真彩(まあや)ちゃんが教科書を抱えながらきょとんと首を傾げて目の前に立っていた。

真彩ちゃんは学級委員も務めていて、転校してきた私にも何かと優しくしてくれるとてもいい子。

小柄で小動物みたいな可愛さもあり、肩で切り揃えられているボブはサラサラで綺麗だ。


「凛々花ちゃん?」

「へ?あ、音楽室…!そうだ、合唱コンクールの練習だったよね」


転校してきて早々、二週間後に合唱コンクールがあるらしく、放課後はその練習で各クラス日替わりで音楽室を使えることになっていた。

今日が私たちのクラスが使える日なのだ。

放課後のホームルームが終わりぼーとしている間に、クラスメイトたちは各々音楽室に向かってしまっているようだった。