「なんかいつも課長におつまみ作ってもらって悪いですね」
と一杯やりながら、環奈が言い出す。
「そうだ。
私、なにか甘いものでも作りましょうか?」
「ほう、できるのか」
まあ、料理は得意でないけど、菓子を作るのは得意とかいう女子もいるらしいからな。
そう思いながら、滝本は言った。
「待ってくださいよ。
なにか簡単そうなのを……」
環奈はスマホを見はじめる。
「……今から調べるのか」
「あっ、これとか簡単そうですっ。
ヨーグルトとかを混ぜるだけっ」
――それなら、お前にもできるかもな。
「ヨーグルトありましたっけ?」
と環奈は張り切って立ち上がる。
部下は褒めて伸ばせと言うしな、と思いながら、
「朝食べようと思って買ったのがある。
……期待してるぞ、頑張れ」
と滝本は言った。
はいっ、とキッチンに行った環奈だったが、材料をそろえながら、何度も、スマホを覗き込んでいる。



