「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「書いたものを簡単に消せるから、買い物メモにいいかなって」

「そうか。
 だが、厚みがあるし、ぶら下げるのにはちょっとな」

「そうですねえ。
 じゃあ、やっぱり、日記でも書きますかね」

「晩酌日記か?」
「晩酌日記はこれには書ききれないですねえ」

「隠れ家カフェの気に入ったメニューを書くとか?」

「それも書ききれませんよ~。

 あ、そうだ。
 ここに住んでる日の日記とか」

 ……俺と過ごす日々は書ききれるのか。

「それにしても、すぐ消せる日記ってどうなんだ」
と言って、

「課長が日記かって、言ったんですよ」
と言われたが、

 いやそれ、ホワイトボードだと知らなかったからだからなと思う。

 環奈がノートを閉じ、
「課長、なにか呑みますか?」
と訊いてくる。

「そうだな。
 なにかつまみでも作ってやろう」
と言うと、わーいと環奈が喜ぶ。

 こうやって、いつも二人で流れるように酒を呑む。

 その感じは――

 まあ、気に入っているので、やはり、この偽装結婚は継続したいかな、と思っていた。