「ただいまです」
仕事帰りに買い物して帰りますね~と言った環奈がなかなか食材を持って帰らなかったので。
他の下拵えを終えた滝本はキッチンと続きになっているリビングのソファに寝て本を読んでいた。
「遅いじゃないか」
と起き上がる滝本に環奈は今あったことを話した。
新浜が話してもいいと言ったからだ。
「……いや、結婚してくれ、何故ですかって、おかしいだろ」
仕事のときのように、ダメ出しがはじまった……。
「『はあ』もおかしい」
「じゃあ、なんて答えればよかったんです?」
キッチンに買ったものを置いてから、環奈は滝本の前に行き、座った。
「俺と偽装結婚してると言えと言っただろ」
「それ、なんの効力もないと思いますが」
「でも、俺も新浜さんもお前に対する思いは似たようなものだ。
だったら、先に頼んだ俺が優先されてしかるべきだろう?
俺だって、お前と結婚したいと思ってる」
一瞬、ドキリとしてしまったが、滝本は、
「俺だって、お前と口がきけるしな」
と言う。
なに張り合ってるんですか。
あなたは誰とでもきけてますよ。
むしろ、怒鳴り飛ばすことも可能ですよ。



