「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「偽装結婚を言い出したのは俺が先だからな」

「は?」

「あの新浜さんも女性と付き合うのがめんどくさいとかいう感じの人だろう?
 お前と偽装結婚したいと言い出すかもしれん」

「……いや、なんでですか」

「お前のことはそう嫌そうじゃなかった」

 嫌そうじゃないのに、偽装結婚なのは何故なのですか。

 あと、あなたの美しい顔が近すぎて、ちょっと眩暈がするのですが。

「お前といると、女性といる感じがしないから、ちょうどいい思う男は結構いるんじゃないかと思うんだ」

 ……課長、そんなこと思ってたんですか?

「もし、新浜さんに付き合おうとか言われたら、言っていいから。
 俺と偽装結婚していると」

 それで引く男の人って、いるんですかね?

「ともかく、新浜さんの機嫌は損ねないように断ってくれ。
 俺はあの店に通い続けたい」

 私との偽装結婚より、新浜さんの料理の方が、基本、大事なんですね。

 まあ、私もなんですが……と思いながら、環奈は、
「……わかりました」
ととりあえず、頷いた。