そのとき、西山たちは二人のいるバルの側の道を通っていた。
店を閉めたあと、まだ開いている輸入雑貨店に買い出しに行くついでに呑みに来たのだ。
ワインとビールで乾杯している環奈たちが見える。
「おっと、他の店にいるじゃないか。
裏切り者め」
と西山が言うと、
「あ、環奈さん……」
と幾つになっても美少年風の、歳がわからない新浜もそちらを見上げた。
嬉しそうに厚切りの肉を頬張っている環奈を見ながら、新浜が呟く。
「考えたんだけど……。
僕、あの人となら、結婚できそうな気がする」
いや、なんで、いきなりそんな話になったっ!?
と西山が新浜を見る。
「お前、育ちのよさそうな美人にプロポーズされても、なにか裏があるかもしれないって言ってたじゃないか」
「でも、あの人、美味しいもの与えてたら、裏切りそうにないし」
どんな評価だ。
いや、俺もそんな気はしているが……。
ご飯作るだけで、めちゃめちゃ感謝してきそうだし。
そのとき、環奈がこちらに気づいて、手を振った。
だが、笑いかけた環奈の顔が止まる。
その目は新浜を見ていた。
口が動く。
……なんて言ってるんだ?



