「はいっ。
席替えねーっ」
麻沙子や滝本たちと話していると、また、悦子が立ち上がり、手を叩く。
「席替え、早くねえ?」
と誰かが悦子を見上げて言っていたが、悦子は、
「もう充分話したでしょ。
次ー」
と言う。
くじの前に並んでいると、環奈の番が来た。
引こうとすると、悦子が言う。
「……それでいいの?」
「えっ?」
「ほんとうにそれでいいの?」
……なんか魔女みたいな顔してますよ、成田さん、と思いながら、
「あ、変えましょうか?」
と箱から手を引き抜かずに環奈は言った。
「……まあ、私もどれが当たりかわからないんだけど。
あなた、引きが強そうだから」
当たりとか、はずれとかあるんですか。
福引ですか、これ、と思いながら、環奈は引いた。
「あ、3番ですね」
そう言うと、悦子は、ホッとした顔をした。
何故だか環奈にはわからなかったのだが。
3はさっき滝本が引いた数字だったので。
そこから変わるであろう瀧本と環奈の席が離れる気がしたからだった。
だが、滝本は4番だった。
「もう一度、席替えしましょうっ!」
「おい、成田。
今、引いたばかりだぞ」
他の男性社員に悦子はそう言われていた。



