「社内にも、普段、あまり顔を合わせない人もいるし。
みんな、いろんな人と話せる方がいいでしょ。
席替えしましょ」
と悦子が言った。
いや、さっき、瀧本課長が来たからと聞いた気がするんだが……。
そう思いながらも、環奈もくじを引きに、立ち上がる。
ちょうど昔のドラマの話で盛り上がったところだったんだけどな。
環奈が最初のくじ引きで引いた席は、ほとんど総務で、知っている顔ばかりだった。
だが、プライベートで話すことは、あまりなかったので、なかなか面白かったのだが。
「はい、引いて」
と笑顔の悦子にくじの入った箱をまた差し出される。
100均でよく見る可愛い小さな箱の上に丸く穴が開けてあった。
これ、作ったんですか、成田さん。
すごいな、と思いながら引く。
「2番だ」
と言いながら、環奈は席を探した。
さっきの席の斜め前くらいか、と思ったとき、滝本が近くに来た。
「3番何処だ」
……これ以上ないくらい見知った顔だな。
いろんな人は何処へ、と思いながら、隣に座る。



