「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「花守さん、お気に入りなんですか?」

 悦子は、じわっと訊いてみる。

「いや、別に。
 知った顔もいるのかと思っただけだ。

 まあ、いつも見る顔なんで、いても新鮮味はないんだが」

 ホッっとしながら、ああ、そうなんですね、と悦子は言った。

 滝本にとって、ときどき自宅にもいる環奈は、これ以上ないくらい、いつも見る顔だった。

 ――でも、今まで課長、あまり呑み会に参加したことないのに。

 やはり、花守環奈が気になるのかしら……?

 悦子はそう勘繰っていたが。

 滝本は単に家の鍵を忘れてきただけだった。

 環奈がいないと中に入れないのだ。

「一緒にタクシーどうですか?」

「ああ、まだもうちょっと仕事あるから、会場だけ教えてくれ」
と言われ、

「はいっ」
とテンションの上がった声で言う。