「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

 成田さん、ちょっと怖いよね~とみんな言っているのだが、仕事での接点があまりないので、特に被害は受けていなかった。

 まあ、こうして、呑み会などもよく企画してくれ、面倒見もいいらしいから、悪い人ではないのだろう、
と環奈が思ったとき――。

「だいたいさー、総務ってさー。
 細かいこと、うるさいよねー。

 現場はいつも忙しいのにさー。
 書類なんて書いてる暇ないって言うのに」

「はあ」

 なんか突然、総務への愚痴がはじまったぞ。

「じゃあ、遅れないでよ、二人とも。
 ああ、平井くんも」

 散々総務の愚痴を言ったあと、そう言って悦子はいなくなった。

「環奈に言ったって仕方ないのにね~」
と麻沙子が言ってくれる。

 ……麻沙子さん、この間、自分も同じようなこと言ってましたよ、と思いはしたのだが。

 とりあえず、同情してくれたのが嬉しく、
「ありがとうございます」
と環奈は笑って礼を言う。

「あー、面倒臭い奴でごめんね~」

 環奈たちの近くで、総務にしかない印刷機を使っていた男性社員がそう謝ってくる。

 悦子の同期らしい。