「環奈、あんた今日の呑み会行く?」
次の日、環奈が仕事をしていると、麻沙子がそう言いながらやってきた。
麻沙子の同期の平井弘章が、
いつ親しくなったんだよ、という顔で二人を見ている。
「あ、はい。
参加しようと思ってます」
「そう。
席はくじ引きらしいわ。
普段あまり会わない部署の人とかも参加するらしいから。
あんた、良さそうなイケメンの隣を引いたら、そっと私にそのくじ渡しなさいよ」
呑み屋で、
「あ、俺、八番だ」
とかイケメンが言ったあと、麻沙子の横を通り、すっとすれ違いざま、くじを取り替えるところを妄想してみた。
「なんかスパイ映画みたいで、ワクワクしますねっ」
そう環奈が笑ったとき、
「ちょっと麻沙子、ズルはなしよ」
と言う声が背後から聞こえてきた。
ひっ、と麻沙子が息を呑む。
その呑み会を仕切っている麻沙子の先輩、成田悦子だ。
ショートカットに、職場でやるにしては、ちょっと大ぶりなイヤリング。
目元はきつく、ちょっと小柄だった。
悦子は環奈たちの後ろに仁王立ちで立っている。
「そこの子」
「花守です」
「そうだったわね。
花守、こいつに番号、渡すんじゃないわよ」
「は、はい」



