「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「それはちょっと嫌ね」
と麻沙子は言う。

「……それはまあ、予想してたからいいんですけど。
 実は課長にひとつ、不信感があって」

 ほうほう、と麻沙子は身を乗り出してくる。

「課長、新築三階建ての家に住んでるんですけど。
 一人暮らしなのに、なんであんなデカい家建てたんでしょうね?」

「いつか結婚して家族と暮らすためじゃないの?」

「いつか結婚して家族となんて。
 そんなこと考えそうにない人ですよ」

 いや、どんな人よ、と麻沙子は突っ込んだあとで、

「訊いてみればいいじゃない。
 妻なんでしょ?」
と言う。

「だから、まだ婚姻届出してないんですよ。
 ……まあ、訊いてはみたんですけど、なんか、するーっといつも、はぐらかされるというか」

 麻沙子が折りたたみ椅子をこちらに近づけてきた。

 真横に来て、環奈に言う。

「面白いじゃない。
 調べてみましょうよ」