「それにしても、なんでそんな遠くの役所にいたんですか?」
環奈は不思議に思って、麻沙子に訊いてみた。
麻沙子は、
「そこにイケメンがいるって聞いたからよ!」
とカッと目を見開いて言う。
そんな、そこに山があるからみたいなこと言われても……。
「そしたら、そのイケメンが霞むくらいのイケメンがいたわけよっ。
滝本課長って言うんだけどねっ、その人っ」
胸ぐら掴んできそうな麻沙子に苦笑いしながら、環奈は思う。
落ち着いてください。
その声、ビーチのお客様にまで響き渡っています……。
「えーと。
その役所のイケメン情報は何処から?」
話をそらそうと、そんなことを訊いてみた。
「うちの従兄弟からよ」
「へえ、そうなんですか」
「これが、その従兄弟」
とスマホの写真を見せてくれる。
如何にも役所の人、という感じのキチンとしたイケメンだ。
「この従兄弟さんがまず、イケメンじゃないですかっ。
麻沙子さんと似てますね」
と言うと、あら、と麻沙子は嬉しそうだった。
自分も一緒に褒められた気がしたかららしい。



