「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

 


 ビーチでは◯×クイズが行われていた。
 豪華景品があることもあり、わーきゃーすごい騒ぎだ。

 ほら、と麻沙子が環奈の膝に、もう一個ジュースを投げてくれる。

「え? いいんですか?」
と環奈は見上げた。

「いいんじゃない?
 なんか余ってるから。

 そういえば、余分買ったし。
 みんなも何個かずつ持ってったわよ」

 麻沙子はそう言いながら、もう一個飲んでいた。

「あんたたち、とりに行ったでしょう、婚姻届」

 私、見たのよ、と麻沙子はイベントが行われているビーチを見ながら言ってくる。

「まあ、とりに行っただけなんですけど……」

 そう言うと、麻沙子は、キッと環奈を振り向いた。

「とりに行ったのは認めるのねっ?

 二人でサインして壁に飾って。
 記念日に出しに行こうねっ、なんて言ってるんでしょう!?」

 麻沙子はだんだん早口になってくる。

 暑さで溶けてきているジュースを手に、
「………夢見がちですねえ、麻沙子さん」
と環奈は呟いた。

「あ、ごめんなさい。
 みんなが呼んでるから、麻沙子さんって言っちゃいました」

 麻沙子は赤くながら、
「い、いいわよ、別にっ」
とこれまた早口に言ってくる。