「課長、明日もこの家、泊まってもいいですか?」
夜、滝本が洗面所で歯を磨いていると、廊下を通りかかった環奈が足を止め、そんなことを言ってきた。
つい、ドキリとしてしまったが、環奈は、
「あさって、朝、早いんで」
と言う。
「……そうだったな」
環奈はあさって、イベントの手伝いを事業部に頼まれていた。
「五時半集合なんで。
そっと出ますね~」
わかった、と滝本は頷く。
環奈の家より、ここの方が職場に近いのだ。
新築三階建てのこの家は、使っていない部屋も多く、環奈は三階にいるので、下に下りてこないと出会わない。
同じアパートに住んでる、くらいの感じかな、と滝本は思う。



