「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」


 


 帰り道、滝本が言う。

「どうするんだ、お前、重婚だぞ」

 我々、まだ偽装結婚すらしていませんよ、と思いながら、環奈は笑う。

「あんなの冗談に決まってるじゃないですか。
 西山さん、ちょっと駄目な感じが漂ってる人ではありますけど。
 すごいイケメンじゃないですか」

「……お前はちょっと自分を安く見積り過ぎだと思うぞ」

「え? なんか言いました?」
と少し後ろを歩いている滝本を振り返る。

「っていうか、店の奴の作る料理がそこの味なの当たり前だろ。

 それにしても、ハンバーグってひとりのとき作るか?
 あの店長、実家暮らしか?」

 独身だよな、と言う滝本に環奈は言った。

「ひとりのときでもハンバーグ作るんじゃないですか?
 それだと、ひとり暮らしの人、ハンバーグ食べないことになっちゃいますよ」

「そこはコンビニだろ」

 いや、偏見がすぎる、と環奈は苦笑いする。