「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」





「美味しいっ。
 あの店の味にかなり近いですねっ」

「ああ……だが、なにかやはり、ちょっとこう違うな」
と滝本は真剣な顔で食べかけのハンバーグを見ている。

「なんか不思議なんですよね、あの店~。
 こう、一味、やさしい感じに普通の店と違うっていうか」

 わかる、と仕事中はありえないことだが、滝本が環奈の話に同意した。

「ところで、お前。
 今日、ほとんど俺が作ったが」

 いや、今日もか……?
と言う滝本に、

「お皿出したり、調味料とったりしましたよ」
と環奈は苦笑いして言う。

 自分もやってもいいのだが、下手に手を出して、まずいものでも作ろうものなら、その場で斬り殺されそうな気がするからだ。

 今日はテレビがついたままだった。

 何処かの小料理屋が映っているのが滝本越しに見える。

「カウンター席だと、店主の人柄がよく伝わっていいですよね」
と常連さんが言い、人の良さそうな店主が照れくさそうにカウンターの向こうで笑っている。

「……カウンター席だと店主の人柄が。

 隠れ家カフェ、ほぼカウンターしかないのに。
 ヤバくないですか?」

「お前はあの、いつもちょっとダルイ感じの店主が嫌いなのか」

 あの、私はヤバくないですか、としか言ってませんからね。

 いつもちょっとダルイ感じとか、嫌いとか言ってないですから、と思いながら、環奈は言う。