「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

 



 今日は環奈が滝本の家に行く日だ。

 バラバラに隠れ家カフェで食べて帰ろうと思っていたのに、隠れ家カフェは休みだという。

 あそこが一番近くて美味しいのに~と思いながら、環奈は、
「課長は何処かで食べて帰りますか?
 私はお惣菜でも買って行こうかなと思います」
と滝本にメッセージを打った。

 滝本がデスクの上に置いていたスマホを見る。

 すぐに返事があった。

「仕事中にそんなことを訊いてくるな。
 たまにはなにか作って食べたのでもよくないか?
 その方が夫婦らしいし」

「課長が作るんですか?」

 仕事中に打つなと言われたのに、つい、そう打ち返すと、

「二人でだっ」
と滝本も打ち返してきた。

「じゃあ、私、スーパーで買い物して帰りますね~。
 なにかいるものあったら、ご連絡ください~」

 そのあとは真面目に仕事をしていたのだが。

 廊下を歩いているとき、横を通った滝本に、
「合い挽き 250」
と耳元でぼそっと言われたので、スーパーで合い挽き肉を探す。

 今日すぐ使うのなら、この賞味期限が近い二割引のでいいかなあ、と思いながら手を伸ばしたとき、白く長い指先が同じ肉に触れようとした。

「あ、すみませんっ」
と環奈は手を離す。