「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」


 

 ……申し訳ないことを聞いてしまった、とおじさん――
 中谷洋介(なかたに ようすけ)は思う。

 あまりにいい男だったので、つい、イケメン好きの姪のために声をかけてしまったが。

 奥さんに出ていかれたか、奥さんを亡くされた人だったのかっ。

 悪いことをしてしまった。

「……一杯おごらせてください」
と反省して言ったが、そのイケメン、滝本は、

「いえ、とんでもないっ」
と断ってくる。

「こうして、他の常連さんと話すのも楽しいので」

 そう言いかけたイケメンだったが、ギョッとしたような顔でカウンターの端を見る。

 いつの間にか、そこに、これまた、よく見る美人が座っていた。
 高いスツールに座っているので、長く均整のとれた美しい足がよくわかる。

 センスのいいスーツの感じからいって、いい会社に勤めているのだろう。

 小さな白い顔に長い黒髪。
 ゆるくかかったウェーブが女性らしい。

 女性は滝本を見ている。

「いや、お前とは話さなくていい」
と滝本は彼女に言った。