「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「あの、うちの姪と見合いしませんか?」

 ――さりげなくないっ!

「いや~、うちの姪ねえ、和子(かずこ)って言うんですけど。
 イケメン好きでねえ。

 そんなのその辺にいないよっていう、俳優とかアイドルとか、スポーツ選手ばっかり追いかけてるんですよ。

 でも、あなたみたいな人なら、見合いしてみようかって気になるんじゃないかと思ったんですけど」

 いや、急に失礼、とおじさんは頭を掻く。

「姉に急かされて困ってまして。
 まあ、私が言うのもなんなんですが。

 なかなかの美人ですよ、うちの姪」

「そうなんですか。
 お力になれればよかったんですが。

 実は――
 私、結婚してまして」

「えっ?
 そうなんですかっ?」

 それはすみません、と謝られる。

「指輪をしてらっしゃらなかったから。
 そういえば、最近はやってない人、結構いますよね」

 あなたの奥さんなら、綺麗な方なんでしょうね?
と微笑まれ、

「ええ、まあ……
 どうなんでしょうね」
と滝本は曖昧に答えた。

「写真」
と西山の方から声がする。

「写真とかないんですか?」

「……今は、ないですね」

「奥さんいるのに、外での食事、多いですね」

 客を来させたくないのか、この店は……。