「あれ~?
これちょっと枯れかけてない?」
隠れ家カフェで、マスタードのきいた和牛サンドで一杯やっているとき、ひとつしかないテーブル席に座っていたおじさんがそんなことを言い出した。
そういえば、テーブルの上のグラスに飾ってある小さな花のついたハーブの葉がちょっと茶色くなっていた。
「ああ」
と言った西山はおじさんのところに行くと、おじさんの後ろの窓を開ける。
そこから、ちょっぴり枯れていたハーブを捨て、窓の高さまで大きくなっているローズマリーの枝を少し切って、
「はい」
とグラスに差した。
窓から、花を切って活けてる!
料理の味は繊細なのに!
雑がすぎるっ!
「はは、相変わらずだね……」
カウンターに戻る西山の背を見ながら、そう言い笑うおじさんと目が合った。
「こんばんは。
よくこの店に来てらっしゃいますよね」
と話しかけられる。
「ああ、はい」
と滝本は答えた。
常連同士のさりげない会話は嫌いではない。



