「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

 まだ木の香りがしそうなテーブルに座り、
「課長はどれ、選ばれました?
 私はですね。

 これが……」

 これ、なんだ?
と環奈は思う。

 伊予柑、清見、南津海を選んだのはわかっているのだが、怒涛の騒ぎの中でそそいだので、どれがどれだかわからない。

「この味……伊予柑かな?

 えっ?
 これは?」

「……飲み比べというより、利き酒みたいになってるな」
と滝本が呟いていた。

「俺は、左から温州、甘夏、伊予柑だ」

 三つ並んだカップを指差しながら、すらすらと言う滝本に手を叩きながら、環奈は言った。

「素晴らしい記憶力ですっ。
 さすが、やり手の課長ですねっ」

「……お前がマヌケなだけだと思うぞ」