滝本の家に行った途端、
「遅かったじゃないか。
もうできたぞ」
とキッチンにいた滝本に言われた。
滝本は爽やかなストライプのエプロンなどつけていて、料理番組にでも出てきそうな装いだが。
こんな人が出てきたら、女性はみんなその料理番組見るなと思ってしまう。
「すみません。
同期の買い物に付き合ってたら、予想外に時間食っちゃいまして」
うわ~、つゆだくの親子丼だあ、とほかほかの蒸気を浴びながら、キッチンに並んでいるふたつの丼を眺めていると、滝本が言った。
「よし、メガネかけてみろ」
……いや、そこは食べてみろでは?
「お前、今まで、無理してコンタクトだったんだろ、ずっと。
メガネかけてくつろいでいいんだぞ」
そういう無理は続かない、と滝本にも言われる。
「はあ、では、遠慮なく。
確かに、私のコンタクト、ずっとつけてられるやつではないので、ちょっとしんどかったですね。
……あの、見て驚かないでくださいね」
「……なにが起こるんだ」
「度が強いので、人相が変わるんです」
ちょっと洗面所に行ってきます、と言って、環奈は消えた。



