また来てしまった。
猫に導かれてもいないのに。
「いらっしゃい……
なんだ、花守か」
いまいちやる気の感じられない『隠れ家カフェ』の店主、西山が言う。
環奈は自分の所定の位置となっている、入り口側のカウンターの端に荷物を置くと、反対側の端に向かい、歩いていった。
「課長」
呑んでいた滝本が環奈を振り向く。
「澤井部長からお土産だそうです。
帰り際に出会ったんで」
「……何故、今、ここで渡す」
出会ったからです、と言って、環奈は滝本に金のロゴの入った小さな白い紙袋を渡すと、席に戻り、すとんと座った。
「だから、なんで離れて座るんだ……」
とグラスを磨きながら、西山が呟くのが聞こえてきた。
「いやっ、ここにいる時間は、プライベートなんで」
そう二人同時に言っていた。



