「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

「でも、課長と偽装結婚のお試しをはじめたから、あの猫と店を見つけられたんですよ。
 課長は素晴らしいです」

「……お前と話していても、なにもときめかない」

「ときめきたいんですか?」

「そうでもないが。
 偽装結婚にしても、無味乾燥すぎる……」

 そう滝本が言ったとき、環奈はまだ灯りのついているスーパーを指差し言った。

「あと、このスーパーも好きです。
 なんか買いやすいから」

 滝本はスーパーの『365日安い』の看板を見ながら呟く。

「閏年は一日だけ安くないのだろうか」

「そうかもですね。
 課長」

「なんだ」

「私、花火の音出せます」

「……映像は?」

 そう言う滝本の声を聞きながら、環奈はこっている右肩を回してみせた。

 ババババッと花火が打ち上がるような音がする。

「すごいな」
「でしょう?」