環奈と滝本は美味しく食べて呑んで一緒に帰った。
「すみません、課長。
今日も泊まっていいですか?」
「……鍵持ってるんだから、好きに入って寝ろ」
仮の妻なんだから、と言われる。
「そういえば、麻沙子さんに、
『婚姻届は、二人でサインして壁に飾って。
記念日に出しに行こうねっ、なんて言ってるんでしょう!?』
と言われたんですが」
「まず、サインしてないよな。
とりには行ったが。
待てよ。
お前、この間、上手く許嫁とやらを追い払ったから、俺はもう用なしだよな?」
偽装結婚を反故にしようとしてないか、と言われる。
「いえ。
まだ、ほとぼりが冷めてないし。
ここには可愛い猫がいるし、美味しい店もあるので」
「ここにいなければならない理由に俺がひとつも入ってないよなっ?」



