「暁月さんに絶対服従 ~隠れ家カフェの常連日記~」

 何処に座ってもよさそうだったので、カウンターの隅に腰掛けてみた。

 ワイン色の高級感あるスエード生地のメニューを見ながら、おまかせのコースを頼んでみる。

 大きな皮に可愛らしく盛られたコーンの炭火焼きが出て来たが、スパイシーな味付けで美味しかった。

 いい店見つけたな――。

 環奈が好きそうだ、と思ったあとで、筑紫聖一(つくし せいいち)は、ハッとする。

 そうだ。
 自分と環奈が連れ立って出かけることなど、もうないのだ。

 バーテンダーのような男を見上げ、聖一は言った。

「もう一杯なにか。
 ……適当に見繕ってください」

 はい、とバーテンダーが微笑む。