ただいま植物男子をお世話中

「まず、僕の自己紹介からするね。僕は木蔦翠《きづたみどり》。気軽に翠って呼んでほしいな」


「は、はい。よろしくお願いします……」



自己紹介が済んだところで、翠くんは話し始める。



「それじゃあ、さっき僕が言った植物男子について説明するね。植園さん……百花ちゃんのお父さんは、植物学者で今は大きな研究で家に帰れていない……ここまでは良い?」


「は、はい……」


「その大きな研究っていうのが、植物を使って新しい生命体を作ろうっていう研究内容で色々と長年実験をしていたんだ」


「えええっ!?」



お父さん、そんな事をしてたの!?


……そういえば、連絡をくれていた頃、「家の中にある人体に関する本を全部集めて研究所に送ってくれ」って頼まれたことがあったな。


……もう2年前の時のことだけど。



「そしてつい最近、その実験が成功したんだよね。そしてそれが……」


「それが、翠くん……?」



私の言葉に、翠くんは頷いてくれた。



「そう。それが僕……それで、ほら。僕ってどっからどう見ても人間みたいな造りでしょ?」



そう言って、ヒラヒラと手を振ってみせる翠くん。


確かに、翠くんの体はどこからどう見ても人間だ。


人間じゃないって言われても信じられないくらい。



「だから、研究していた人達がね『どこが人間と一緒で、どこか人間と違うのか日常生活を観察して調べてみよう』って言い出して」


「それで、私の家を……」



家が広いうえに人が私以外誰も居ないなら……何人いるのか分からないけど、数人程度ならどうってことないだろう。


翠くんの言っていることはまだ信じられない面はあるけど、説明をする姿からは嘘のようなものは感じ取れない。


何より、私の名前を知っていた。



「……事情は何となく分かりました」


「ほ、本当?良かったぁ……」



そう言って翠くんは安堵の息を漏らす。


ただ、私としては最後の確認としてやりたいことがあった。



「それはそれとして。……今から、お父さんとお話しても良いですか?」


「うん、全然良いよ」



翠くんに許可をもらい、ロビーに置いたままだったスマホを持つ。


そして、普段は仕事の邪魔になるからとかけていないと押してないお父さんの電話番号のボタンを今日は何の躊躇いもなしに押した。