ただいま植物男子をお世話中

後片付けを終えて、鉢田さんが帰った後。



「はぁ…………」



私は1人、自室のソファに沈んでいた。


あんなに明るく楽しかった雰囲気が嘘のように静かになった家の中。


いつものことなはずなのに、今日はやけに寂しく感じる。


こんなことなら、鉢田さんにお茶でも飲みながらお話しよう、と引き留めていれば良かった。


そんな後悔をしても、壁にかけられている時計の針が無情にもカチコチと鳴っている。



「……寂しいなあ」



そう呟いても、誰も返事をしてくれない。


誰も居ない食堂、誰も居ないロビー。


私1人にはあまりにも広すぎる家の中は、私以外誰も居ないことを強調させるのには十分過ぎるくらいに役立っている。


何で私のお父さんはこんな家を買ってしまったんだろう。 


掃除してないとすぐにホコリまみれになるし、部屋に行くにもいちいち歩かないといけないし。


皆みたいな家なら、まだこの寂しさもマシだったのに。


ぎゅっと自分の体を抱きしめて縮こまる。


私にはお母さんと呼べる存在が生まれてからずっといない。


いわゆる父子家庭というものだ。


小学4年生までは、お父さんだってこの家にいたし、一緒にお花のお世話とか野菜の収穫をしたりとむしろ楽しくて寂しさなんて感じなかったのに。


植物学者であるお父さんは、大きな研究があるからと言って私を1人この家に置いて行ってしまった。


最初の頃は、毎日欠かさず何かメールを送ってくれていたけど、最近は研究が忙しいのか何も送ってくれない。



「……もう、今日は寝よう」



寝ればこの寂しさも薄くなるはず。


そう願いながら、私は部屋の明かりを消した。