だからアナタに殺されたい。




「エレノアは本当に自分のことに関しては鈍感ですよね。確かにアナタにはたくさんの恩があります。それも返し切れないほどの。けれど、それだけでここまでするとでも?」



クスクスと花のように笑うローゼルが、視線を上げ、私をアメジスト色の瞳で射抜く。
まっすぐなその瞳には、無表情なローゼルには似合わない熱があった。



「俺は何度も言いました。アナタになら殺されてもいい、と。どうしてだかわかります?」



ローゼルの言葉に、視線に、ドクンッと心臓が跳ね、体温がどんどん上昇していく。

どうしても、ローゼルの次の言葉に期待してしまう。
甘い夢をみてしまう。
違う、と何度頭で否定しても、それがかき消されてしまう。



「エレノア。俺はアナタをずっと愛していました。だからアナタになら殺されてもよかったんです」



ローゼルはふわりと微笑むと、そっと私の頬に触れた。
ローゼルに触れられた頬から熱が広がり、私の身を焦がしていく。

…これは、夢なの?
最期に見る、幸せな走馬灯?



「…う、うそ、よね?私を思ってローゼルは…。いや…、そもそもローゼルじゃない、とか?」

「嘘じゃないですし、俺は正真正銘、ローゼル・ホワイトです」



私の頬に触れていたローゼルの長い指が、私の涙を拭う。
何度、目をぱちぱちさせても、幻であるローゼルははっきりとその姿を現したままだ。

夢じゃ、ない?