「俺をこの中に入れてください」
ローゼルは私から一度、医師に視線を向けて、強くそう言った。
「…しかし、エレノアさんはアナタだけを求めていて、最悪アナタは…」
「それが俺の望みです。それにエレノアを助けられるのはもう俺だけなんでしょう?」
「…っ」
医師はローゼルの要求を、その危険性からなんとか飲まないようにしていた。…が、冷静で譲らない態度を見せるローゼルに、ついには何も言えなくなってしまった。
そしてしばらくして「…どうぞ」と複雑な表情で、鉄格子の扉を開けた。
檻の向こうからゆっくりとローゼルがこちらにやって来る。
薄暗い世界に現れたローゼルは、何よりも眩しく、美しい。
「…エレノア」
ローゼルは私の姿を見て、辛そうに表情を歪めると、そっと私からさるぐつわを外した。
「ロ、ローゼル…」
唾液と涙で濡れている私の口からか細い声が漏れる。
名前を呼んだだけなのに。ローゼルへの愛しさが溢れて溢れて止まらない。



