会いたくないと確かに思っていたはずなのに、聞こえてきた声に一気に体温が上昇する。
会いたかった、と体中が泣き叫ぶ。
「エレノア…。ああ、やっと会えた」
檻の向こうに現れたローゼルは私を見て、辛そうにその美しい瞳を細めた。
「…っ」
こんな姿、見られたくなかった。
アナタの中でだけは綺麗な私のままでいたかったのに。
いや、そんなことどうでもいい。
今すぐ、彼の血を喰らいたい。
こんな鉄枷なんて壊して、さるぐつわなんて取り除いて、彼に牙を立てるのだ。
…違う!違うでしょう!?
頭の中を駆け巡る本能と理性に、自分がぐちゃぐちゃになっていく。
胸が苦しくて、体が熱くて、涙が止まらない。
どうしようもない苦痛に苛まれる私を見て、ローゼルは悲痛そうに眉間にシワを寄せた。
「…俺が全部悪いんです。無知な俺がアナタをここまで引きずり堕とした。俺がアナタに血を飲ませてしまったから…」
罪悪感でいっぱいのアメジスト色の瞳が、私をまっすぐと見つめる。
ローゼルの発言に、周りにいた医師たちは何やらざわつき始めた。
だが、私には何も届かない。
私の世界にはもうローゼルだけしかいないからだ。



