血が欲しい、ローゼルの血が。
ここから逃れられないかと、腕に力を込めてみる。
しかし、びくともしない。
ああ、苦しい。
ずっとさるぐつわをしているので、口から唾液が止まらない。
涙も止まらず、ボロボロとこぼれ落ちる。
バケモノだ。
私はもう、バケモノになってしまったのだ。
血を喰らうことだけしか考えられなくなってしまった私は、処分される運命なのだろう。
今の状況に、自分の未来を悟ってしまう。
するとそこに私を担当していた医師が檻越しに現れた。
そして私をただ義務的に見つめると、淡々と言った。
「エレノアさん。手は尽くしましたが、アナタにはもう回復の見込みはありません。残念ですが、明日には禁断症状を発症してしまった吸血鬼としてこちら側も対処しなければなりません」
そうであろうとは思っていた。
自分の終わりをいよいよしっかりと通告され、胸にぽっかりと穴が開く。
…が、こんなバケモノとして生きながられるのなら、もうその生を終わらせてもいい気がした。
誰かを…ローゼルを殺してしまうくらいなら、私が死んだ方がマシだ。
「…最期にアナタに会うことを強く希望した方がいらっしゃいます。エレノアさんのご両親とあと一名、帝国騎士団のローゼル・ホワイト様です」
「…っ」
医師の言葉がドクンッと私の心臓を高鳴らせる。
止まることを望んでいた心臓が、どんどんと加速していく。



