だからアナタに殺されたい。




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sideエレノア



何十年も連れ添った、愛おしい人。
彼、ローゼルは穏やかに私の膝の上で息を引き取った。

つい1週間前の出来事を思い出し、また瞳に涙が溢れる。

私は今、ローゼルの葬儀を終え、1人で広く寂しくなった家を片付けていた。
ローゼルの書斎から必要なもの、不必要なものを取り出し、仕分けをしていく。
ここが終わったら、次は自分の場所も片付けるつもりだ。
子どもたちに迷惑をかけない為の生前整理というやつだ。

吸血鬼の最期はさまざまだ。
だが、私のような最愛の人の血を覚え、最愛の人の血によって生かされてきた吸血鬼たちは、皆一様に、最愛の人と共に逝くこと選ぶ。
何故なら彼らなくしては生きられないからだ。
最愛の人の血のみが使われたタブレットを用意し、生きながらえる…という方法もあるのだが、あまりそれをする吸血鬼はいなかった。

何十年もかけて、ローゼルに深く愛されてきた私にはもう、若かりし頃の渇きも抑えきれない本能もない。
ここ数十年は彼から必要最低限の血をもらい、穏やかに生きてきた。