sideローゼル
ーーーその日はとても快晴で。
もう動く気力さえもないというのに、ベッドから降りて、外に出たいと思った。
アナタと最期に心地いい空気を目一杯吸いたかった。
だからエレノアに無理を言って、庭の木の下まで連れて行ってもらった。
木の幹に体を預け、座るエレノアに膝枕してもらいながら、エレノアを見つめる。
青空と春の新緑。
美しい自然を前にしてもなお、エレノアは雄大であり、目を引く存在だ。
黄金の瞳は年齢を重ねるごとに輝きと深みを増し、顔に刻まれていくシワ一つ一つが共に生きてきた証のようで、愛おしかった。
ふわりと暖かな風が吹き、エレノアのピンクゴールドの髪を揺らす。
いくつになっても、俺だけの聖女は綺麗だ。
太陽ではなく、彼女の眩しさに、俺は瞳を細めた。
エレノアと一緒になって、もう何十年になったのだろう。
最初は帝国の、みんなの聖女だった、エレノア。
けれど、俺だけの聖女になってくれて、結婚して。
子どもができて、エレノアや子どもたちを養う為にも、俺は帝国騎士団でますます働いた。
エレノアは帝都で有名な薬師に、俺は帝国騎士団総隊長になり、子どもを育てて。
子どもたちも巣立ち、自分たちも引退後は、のんびりと過ごそうと、帝都を離れ、南の田舎へと移住した。



