「ですが、保険は必要です。例えば、ローゼルさん。アナタが他の人に目移りした場合、それはエレノアさんの想いが変わらない限り、エレノアさんの死を意味します。エレノアさんの今後の生命の保障の為にも、アナタにはある契約をしていただきたいのです」
そこまで言うと、医師は一旦言葉を止めた。
そして、私ではなく、ローゼルただ一人をまっすぐ見つめ、真剣な声音で続けた。
「ローゼルさん、アナタにはエレノアさんと結婚という契約を結んでいただきたい」
「…え!?」
医師の言葉に即座に反応したのは、ローゼルではなく、私だった。
医師から出た予想外の言葉に、思わず大きな声が出てしまう。
しかし、そんな私とは裏腹にローゼルは淡々と「わかりました」と頷いていた。
当たり前のように返事を返したローゼルに嬉しいと思う反面、罪悪感でいっぱいになる。
「ローゼル!ちょっと待って!」
私はローゼルのあまりにも早急な答えを止めるように、両手を前に出した。
ローゼルが私を不思議そうに見ているが、そのような目で見たいのは私の方である。



